自己概念とは
キャリア理論家として研究を続けたアメリカのドナルド・E・スーパーは「自分は何者なのか」「何に価値・興味があるのか」ということを自己概念として生涯にわたり発達してものとしている。
また、仕事を通じて得る満足度は、自己概念をどれほど実現できたかに比例すると述べている。肯定的な自己概念は前向きは行動力になり、否定的な自己概念は、自信を失わせ行動は消極的になってしまうとしている。
当然といえば当然ですが、自分に対してできるだけ肯定的に捉え、自分の興味や能力にあった行動、仕事を行うことが「自分らしさ」なのかなと思います。
ライフステージとは
スーパーはキャリアの段階をキャリアステージとして発達段階を表現しています。
第1期:成長期 0~15歳 身体的成長。自己概念の形成。興味の探求。
第2期:探索期 16~25歳 様々な仕事の必要要件を知る。訓練をして仕事につく。
第3期:確立期 26~45歳 特定の仕事に根を下ろし、仕事に貢献する。
第4期:維持期 46~65歳 職業的地位の維持する。後半は退職の準備。
第5期:下降期(解放期)66歳~ 余暇や家族、地域活動など新しいライフスタイル。
このように5段階でキャリアの段階を表現しています。時代も変わっていますので、人生100年時代の現代には少し合わない部分もあるかも知れませんが大きな流れは変わっていないと思います。
ライフロールとは
ライフロールとは人生の役割を表現したもの。
②学生・学ぶ人 義務教育期間のほか、社会に出てからの学習期間も含む。
③余暇人 趣味に費やす時間。読書、テレビ、旅行、スポーツなど。
④市民 地域住民としての市民の役割など。
⑤職業人 働く期間。
⑥ホームメーカー 家事全般。家屋のメンテナンスなども含む。
⑦その他 その他の様々な役割。
スーパーはこれらの役割を、それぞれ重なりあったりしながら相互に影響して担っていくものとしています。また期間を表すライフステージと、役割を表すライフロールを虹色に例えて、ライフキャリアレインボーという図で表現しています。
役割が多く、重なるときは大変かもしれないが、逆に役割が少ないことも人生の充実感が少なくなるとも言っています。自分なりのバランスが大切ということですね。
キャリア決定のアーチ
1990年、研究の後半にはキャリアを支える2本の柱があるとして 「キャリア決定のアーチ」 を発表しています。
一つの柱が内的な要因でその人独自の特性、興味、価値観、能力などパーソナリティであり、もう一つの柱が外的な要因で自分では変えにくいもの。社会の影響、労働市場、職場の環境などです。
この双方の柱によってキャリアは支えられるとしています。
仕事に求める14の価値観
スーパーは晩年に「仕事の重要性研究」として、個人にとって重要な仕事の価値観とは何かということを10カ国以上、広範囲わたり研究したものを発表しています。
①能力の活用/能力の発揮
②達成/達成感
③美的追及/美しい創造物
④愛他性/人の役にたつこと
⑤自律性/自律すること
⑥創造性/新しいものを生み出すこと
⑦経済的価値/経済的な豊かさ
⑧ライフスタイル/自分のペースで生活すること
⑨身体的活動/身体を動かすこと
⑩社会的評価/仕事の成果を社会が評価すること
⑪冒険性/わくわくする体験をすること
⑫社会的交流性/様々な人と接点を持ち交流を図ること
⑬多様性/多様な様々な活動ができること
⑭環境/仕事の環境が良いこと
以上の14にまとめています。それぞれひとつの場合もあれば複数が大切な価値観だという場合もあるかと思います。
自分の価値観は何か?改めて考えてみるのもいいかも知れませんね。
まとめ
キャリア理論の代表者の一人、スーパーの理論について簡単に紹介しました。
この理論の概要、実際にどう活かすことができるのかをまとめます。
①自己概念/自分は何者、何が大事と思っているのか。
②ライフステージとライフロール/人生は成長段階と成長に伴って様々な役割がある。それぞれの役割を自分に合うようにバランスを調整することで充実感を増やすことができる。
③キャリア決定のアーチ/内的な自分の価値観と自分ではどうしようもない社会の環境のバランスを考える。
④14の仕事の価値観/自分の価値観を考える。
スーパーの理論は古典的でかつキャリア理論を包括していると言われています。時代の変化はありますが、現代にも通じる考え方ではないでしょうか。
自分を深く知ることに始まり、今とこれからをどうすれば充実させることができるのか、この理論を通じて考えることができればいいかなと思います。
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