ジョン・D・クランボルツのキャリア理論(1928-2019)

キャリア理論

基本的な考え方

クランボルツ教授はスタンフォード大学院 教育学研究科に在籍し、昨年90歳で亡くなる2019年まで精力的に研究されていました。「計画的偶発性理論」が有名ですが、キャリアに関する基本的な考え方は次のとおりです。

先天的な資質

身体的な特徴、知能、芸術的な才能、運動能力など、遺伝的な要素については職業選択や将来のキャリアに影響するが、遺伝的な特徴などは自分で変えることはできないので受け入れるものとしている。

環境条件や出来事

社会的な環境条件、労働市場、文化的な条件もキャリア選択に影響がありますが、これらも自分では変えることが難しいため受け入れるしかない。

学習経験

①道具的学習経験 本人の行動の結果、良い結果が出た場合、「正の強化」その方向に進むことがあるとし、逆に上手くいかなかった場合は行動をやめたり放棄することに繋がっていく。

②連合的学習経験 何かの経験により、特定の感情が生まれたときにおこります。身近な人の職業に興味がわいたりすることもこのためです。例えば、親が看護師だったりして、自分もその道に進んだりすることもそのひとつ。

課題へのアプローチ・スキル

課題に対しての意思決定スキルをアプローチスキルと呼んでいます。先天的な資質や環境条件、これまでの学習経験を考えてどのような方向に向かうのかを、職業情報、選択肢の中から考えていくことです。

計画的偶発性理論

計画的偶発性理論はキャリア理論としては従来のキャリア理論とは異なり、偶然の機会を活用するところが特徴です。1999年にクランボルツ、ミッチェル、レヴィンが「プランド・ハップンスタンス・セオリー」という論文を発表しました。(その後「ハップンスタンス・ラーニング・セオリー」に改名)

未来を予測し難い現代においては予期せぬ出来事を、自らのキャリアに活かす考え方が大事だとしたものです。

実際に数百人のビジネスマンに調査した結果、8割の人は偶然の機会がキャリアに影響を及ぼし成功しているというものです。またその為の行動特性として次の5つを上げています。

5つの行動特性

①好奇心/新しい学びの機会を探す。

②持続性/失敗しても努力を続ける。

③柔軟性/時には姿勢や考え方を変える。

④楽観性/きっとうまくいくと考える。

⑤リスクテーキング/冒険心とも。先のことがわからなくても行動する。

まとめ

「計画性偶発性理論」に代表されるクランボルツについて簡単に紹介しました。

クランボルツ自身がテニスコーチが心理学の先生だったこともあり、偶然の出会いが自分のキャリアに影響を受けたと言っています。

この5つの行動特性のすべてに取り組むのは難しいかも知れませんが、ちょっと足りていないなぁと思う項目は意識してみてはいかがでしょうか。

私は「好奇心」と「持続性」を意識して取り組んでいます。

またクランボルツは目標は決め過ぎず、柔軟に生きるほうが、自分自身の新たな可能性を見逃さないと言っています。

まったくそのとおりですね。いろんな選択肢のある現代、年代、経験関係なく可能性は無限大だと思います。

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